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「スマートシティ化も実現するのは“人”」SOTE SYMPOSIUM本年度第1回目が会津若松で6/18(土)に開催
今年で12年目になるLOVE FOR NIPPON(以下、LFN)の復興支援活動ですが、これまでお互いが経験したことを話し合い、これからの支援活動、防災、SDGsなまちづくりに活かしていくシンポジウム「SOTE SYMPOSIUM(ソテ シンポジウム)」の本年度第一回目を、 「スマートシティ会津から学ぶ町づくりのこれから」をテーマとして、6月18日(土)に会津若松市で実施しました。
復興を果たしつつある福島県ですが、最終処分問題や風評被害など取り組まなければいけない問題があるのが現状です。
この問題を細かく分解し、様々な支援者と現地の当事者たちを繋いでいくことで、防災が強化されたSDGsなまちづくりにどう活かしていくかを学びディスカションするLFN主催のシンポジウム「SOTE SYMPOSIUM」は、年間に渡って数回実施される予定です。
▼SOTE SYMPOSIUM@会津概要
■日時:2022年6月18日(土)13:30〜17:00(受付開始:13:00)
■場所:スマートシティAiCT(〒965-0872 福島県会津若松市東栄町1−77)
■主催:一般社団法人 LOVE FOR NIPPON
<内容>
13:30 開始
13:40 挨拶
LFN代表 CANDLE JUNEより
14:00 基調講演:スマートシティ会津若松について
アクセンチュア株式会社 工藤 祐太 様
住友生命保険相互会 山口 潤 様
福島県会津若松市役所 柏木 康豪 様
14:30 テーブルトーク:テーマについて各3テーブルにて議論
15:20 休憩
15:30 セッショントーク:テーマについて各3テーブルから発表
16:30 フォトセッション
17:00 終了
<登壇者/参加者>
・LFN代表 CANDLE JUNE
・アクセンチュア株式会社 ビジネスコンサルティング本部ビジネスコンサルティンググループ
プリンシパル 工藤 祐太
・住友生命保険相互会社 新規ビジネス企画部
部長代理 山口 潤
・福島県会津若松市役所企画政策部企画調整課スマートシティ推進室
副主幹 柏木 康豪
▼基調講演:『OPEN My Eyes』を掲げて行ってきたプロジェクト概要と今後の目標について
本年度第一回目となる「SOTE SYMPOSIUM@会津」は、企業や学校、行政とタッグを組み、LFN代表のCANDLE JUNE、ならびに各企業の代表者や学生たちと議論が交わされました。
冒頭、代表のCANDLE JUNEからの挨拶では、LFNのこれまでの活動内容やビジョンについて軽く触れられた後、アクセンチュア株式会社 工藤さん、住友生命保険相互会 山口さん、福島県会津若松市役所 柏木さんの3名が登壇し、本シンポジウムにおけるディスカッションのテーマとなる「スマートシティ会津から学ぶ町づくりのこれから」について、基調講演がスタートしました。
これまでアクセンチュア工藤さんを中心に「会津若松で進める市民中心のスマートシティと地方創生」を掲げ、企業と行政がタッグを組み、会津若松の住民のみなさまと一緒に、”人が永続的に生活することができる街”を目指すスマートシティプロジェクトとして合言葉を『OPEN My Eyes』と銘打ち、震災以降様々な活動を行ってきました。(『OPEN My Eyes』は、他人任せにせず自分ゴト化し、自分でアクションを行っていく、という意味合いを持つ)
基調講演では、これまでにどういう人が関わり、どういった具体アクションを行ってきたかをご紹介いただきました。
まず企業、行政、市民一体となったこのプロジェクトの発端として、「会津若松スマートシティの生みの親」と言われる故 中村彰二朗さんについての紹介がありました。2011年の震災後「デジタルを活用して何か復興の取り組みができないか?」と、市内に移住し始めた中村さんは、その後「市民中心のまちづくり」のスマートシティコンセプトを提唱しながら、会津若松市内にとどまらず全国に普及啓発活動を推進し、大手、ベンチャーにかかわらず、82社の企業をこのプロジェクトへ集結させました。
そういった中村さんの努力から始まったスマートシティプロジェクトですが、継続のための重要なポイントは「一体感を醸成する空気感づくり」であり、市民一人ひとりの心構えの転換が肝心であることが述べられました。
そのためのスキームとして、以下5つのアクションを行ってきたと語ります。
①OPEN: 既存の枠組みや常識に縛られず、立場や志向性に関係なく思ったことを発言
②FLAT: 立場は違えど、お互いの意思を尊重
③CONNECTED: 企業や学校を超えた”目的”へ向けた連携・繋がりの創出
④COLLABORATION:ゴールへ向けてみんなが知恵を出す
⑤SHERE: 好事例は業界、地域内外に問わず共有
上記のスキームを中村さんから市民のみなさまへの地道で継続的な連携があり、市民の中での本取り組みの認知率は現在9割を超えるとのことでした。
次にプロジェクトの具体的アプローチについても述べられました。
これまで、データを活用した産業創出・人材育成を主目的に先進事業に取り組み続けることで、産業集積・移住者の誘致(定着)を目指し、単発で終わらず、中長期的な視点を持って取り組んできたとのことです。市民と今後地域、市民、企業にメリットのある「三方良し」の社会構築でこれまでに新しい資本主義社会を目指し、市民や地域企業の意見も十分に取り込み、デジタルサービスの社会実装を推進していく形が理想と述べました。
最後に震災後11年目にして構築できたこれらの基盤を今後「実走化」するために以下3つのポイントを上げました。
・「総論賛成」「各論反対」からの脱却
・「永続的な街づくり」の実践
・「地域人」を増やす
これらを実践していくことで今後さらに会津若松のスマートシティ化を推進していけることが提示され、参加者も理解を示した様子でした。
▼「これからの会津スマートシティ」をテーマに学生×企業×行政で議論
続いて3テーブルに別れたテーブルトークが行われ、Yahoo! Japan、Facebook JAPANをはじめとした大企業の代表から、行政担当、学生まで様々な参加者が「これからの会津スマートシティ」の具体アクションについてディスカッションされました。
その後の発表タイムでは、まずテーブル1の代表者として高校生の川田恵里花さんから総括が発表されました。総括として、「大学、行政、企業が連携して考えを共有し、それをまずやってみることが重要だということが議論されました。団体や個人それぞれでアクションできるスケールや深さも違う中で、それぞれ自分の思いを自由に発信し、それを一緒に考えることで当事者意識を持ってシステムを構築することが重要である、という結論に至りました。」と、述べられていました。
続いてテーブル2の代表者である望月さんからは、「現状工藤さんたちが主導で開発した会津のポータルサイトの利用者をどう増やすか、について議論が成されました。現状の利用深度がユーザーによって偏りがあるにしろ、まずは使って欲しいという思いがある中で、特に高齢者の利用増加のためのアクションに争点を絞りました。そのためには、サービスの使い方を具体的に教えたりできる中間業者的な立ち位置の人にこういった地域活性に興味のある学生さんたちに協力を仰ぐのはいいよね、ということになりました。さらに具体的に訴求する際には単にサービスの中身を謳うのではなく、サービスを使うことで孫と会話することができる、など、実際にどう生活にメリットを及ぼすのかをうまく伝えることがポイントという結論に至りました。」と述べました。
最後にテーブル3の代表者である沼野さんからは「スマートシティの基盤はできているものの、やはりデジタルネイティブでない住民への認知や理解がまだ足りない部分がある、という結論に至り、そこをどう打破するかを議論しました。まず企業と自治体の連携があることでその溝は埋まるという話があったのと、初のターゲットをデジタルにハードルを感じていない人に設定し、その人たちからの利用した中での感想や、他社へのレコメンドを行ってもらうことで、徐々に広がっていくのではないかと考えました。また、伝える相手それぞれの関心度や知識に応じて伝え方も変えながら、地道に訴求していくことが重要だと考えます。」と述べていました。
このように今後のスマートシティ化に関して様々な意見が交わされ、さらに会が終了したあとも個々にディスカッションする様子も見られる中で、解釈は違えど「結局スマートシティ化に必要なのは”人”のチカラが大事」という結論に至ることができ、地域や立場関係なくこれからについて発展的な機会になったのではと思います。
その日の夜は交流会を開催し、シンポジウムには参加できなかった地元企業家も参加、各地から集まったメンバーが交流を深めました。次の日には会津電力を立ち上げた大和川酒造代表の佐藤弥右衛門さんの酒蔵にて震災後から立ち上げてきたお話を聞かせてもらい、またこれからの自然エネルギーやまちづくりの在り方を学びました。
最後には会津盆地が一望できる場所へ案内いただき、次回はこの場所で地元のものを食べながらシンポジウムを開催しましょうと盛り上がりました。次回は配信型開催となりますが、今後も福島各地でシンポジウム開催をおこない、学び合いを深めていき、復興への共同作業へと落とし込んでいくことができたらと考えています。
引き続きLOVE FOR NIPPONへのご支援をよろしくおねがいいたします。
▼募金ご協力のお願い
LOVE FOR NIPPON Yahoo!ネット募金のご協力をお願いいたします。
福島の子どもたちが、自分が経験したことを話し合い、コミュニケーションをとりながら、これからの支援活動や、防災、そしてまちづくりに生かしていけるシンポジウムの開催と、子どもたちの学びや体験のサポートに使わせていただきます。
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